Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lisez 南国太平記 (なんごくたいへいき) de 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 493 291 caractères · 991 écrans

Aozora Bunko

「南無、維新公、この大難を、免れさせ給え」

と、叫んで、一人の青年は、庭で跪いて、祈った。

吉之助が、門へ出ると、もう、五六頭の馬が、集まっていた。

小者も、馬丁も、ただ、目礼をしただけで、口さえ利かなかった。吉之助は、馬に跨がると

「一蔵、は、早くつづけっ」

と、叫んで、すぐ、走り出した。鞍に左手をかけ、手綱と共に、鬣を引っ掴んで

(某の、到着致しますまでは――)

と、絶叫した。今朝、拝謁した時の斉彬の顔が、姿が、部屋が、庭が、いろいろの声と共に、頭の中に閃滅しつつ、廻転した。ただ、呼吸もできぬような、切迫したものが、頭の中いっぱいになっていて、馬に乗っていることも、自分の身体も、感じなかった。

町へ出ると、町は、何事も知らぬように、静かに、通行の人々は、吉之助の馬の勢いに、走り、避け、見送っているだけであった。

何処を走っているのか? 何処へ行くのかも感じなかった。ただ

(もう、すぐだ)

と、思いつつ、明るい海の光っている、澄んだ空からさす陽の下の町を、絶望と、暗黒の心、固くなって、顫えている胸を抱いて、走って行った。

城へ近づくと、然し、徒歩で、馬で、人々は、急いでいた。