Classiques japonais avec furigana
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なんちしんじゅう
南地心中
泉 鏡花
Lisez 南地心中 (なんちしんじゅう) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 205 caractères · 79 écrans
「娘の、爺さんか父親なんだ。」
これは男衆が知らなかった。
「へい、」
「知らないのかい。」
「そうかも知れません、私あ御存じの土地児じゃないんですから、見たり、聞いたり、透切だらけで。へい、どうして、貴方?」
「ところが分った事がある。……何しろ、私が、昨夜、あの桟敷へ入った時、空いていた場所は、その私の処と、隣りに一間、」
「そうですよ。」
「その二間しかなかったんだ。二丁がカチと入った時さ。娘を連れて、年配の出方が一人、横手の通の、竹格子だね、中座のは。……扉をツイと押して、出て来て、小さくなって、背後の廊下、お極りだ、この処へ立つ事無用。あすこへ顔だけ出して踞んだもんです。(旦那、この娘を一人願われませんでござりましょうか。内々のもので、客ではござりません。お部屋へ知れますと悪うござりますが、貴下様思召で、)と至って慇懃です。
資本は懸らず、こういう時、おのぼりの気前を見せるんだ、と思ったから、さあさあ御遠慮なく、で、まず引受けたんだね。」
七
「ずっと前へお出なさい、と云って勧めても、隅の口に遠慮して、膝に両袖を重ねて、溢れる八ツ口の、綺麗な友染を、袂へ、手と一所に推込んで、肩を落して坐っていたがね、……可愛らしいじゃないか。