Classiques japonais avec furigana
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ゆうじんいっかのし
友人一家の死
松崎 天民
Lisez 友人一家の死 (ゆうじんいっかのし) de 松崎 天民 (まつざきてんみん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 805 caractères · 14 écrans
殊に幼いM子は、色白の美しい上に、明敏な質であったので、生れ落てから直ぐ鏡花夫人の愛の掌に抱れて、三つとなり五つとなった。
そうして過ぎ行く月日の間に、M子の母は午後になると倦怠と発熱を覚え、夜は冷たい寝汗に苦しむような病人となった。
悲劇はこれから醸されたのである。
○
何も彼も話さねば判らぬが、僕が今の妻と知合になって、正式に結婚を申込だ時、仲に立て世話してくれたのは、この今井であった。大正四年五月上旬から下旬までかかって、愈々型ばかりの結婚式を挙げた時、席に列してくれたのは、この今井君と角田浩々歌客の二人だけであった。細君は余程悪くなって、声も嗄れていたし、咳も出るし、午後の熱にも苦んでいる様子に見えた。
「細君が病中のところを、種々御尽力になった。僕の方はこれで片が附いたが、細君の病気は何うだね。僕は不遠慮に云うが、肺に異状があるのではないか、ね」
「いや、高田耕安氏にも診て貰ったし、他の医師にも診て貰ったが、肋膜の方は悪いけれど、肺には異状が無いのだそうな」
「それなら宜いけれど、一度、友人の武田君か金田君かに見て貰っては何うだね」
「武田にも診て貰ったが、肺ではないらしい」