Classiques japonais avec furigana
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こせんのなぞ
古銭の謎
野村 胡堂
Lisez 古銭の謎 (こせんのなぞ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 885 caractères · 26 écrans
二
「イヤ、それには及びません、古銭研究会の幹事をしていらっしゃるなら、丁度鑑定して頂き度いものも御座います、手前の宅まで御一緒を願えませんでしょうか」
これは、南老人とは反対に、巾地は粗末だが、仕立は無類という、身体にピタリと合ったモーニングを着て、赤革のカバンを持った中年の紳士、懐の金と、目尻の微笑は切らした事が無い、といった感じのする人物です。
二
電車に揺られ乍ら、中年配の紳士は南市太郎老人にこう話しました。
「……そういうわけで、主人が私に遺した、ほんの少しばかりの古銭があるのです。古銭の中には、一枚何千円何万円にも取引される品があるという事は聞き知って居りますが、私はその道にかけては全くの素人で、どれが値打があるのやら、全く見当が付きません。いきなり商売人の手にかけるより、あなたのような有名な専門家に鑑定して頂いて、値打があるものなら、適当な値段でお引受け下されば、私は申すまでもなく、そう申しては失礼ですが、あなたも御便宜ではないかと思いましたので……」
「なるほど、よく解りました、そんな口には、得て大掘出しがあるもので、私共蒐集家には願っても無い機会なんで……」