Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ねむのきのかげ
合歓木の蔭
山本 周五郎
Lisez 合歓木の蔭 (ねむのきのかげ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 740 caractères · 27 écrans
奈尾の眼はうっとりと夜空を見ていた。耳のすぐ側であの声がささやいていた。――あすの晩もういちど、どうかもういちどだけ。
六月十八日に奈尾は岩田へ輿入れをした。椙原は八百五十石の年寄肝入役であり、岩田は七百石の納戸奉行である、婚礼の式には藩主からとくに使者を賜わり、祝宴は三夜にわたって催された。岩田家にも主婦がいなかったので、ばあやが小間使をつれてゆき、岩田椙原両家の親族の婦人たちと謀ってすべての世話をした。――奈尾はその時間を夢の中にいるような気持で過ごした。土地の習慣で、祝宴のあと二日は、新嫁が主になって親族知己の婦人たちを招待する、この日は客たちの望みによって、新嫁はたしなみだけの芸事を披露しなければならない、音曲とか舞とか、茶、華、香、ときには歌、俳諧なども所望されることがある、奈尾も琴だけは弾いたが、あとはなにを望まれても「ふたしなみでございます」と云って辞退しとおした。ばあやがとりつくろって、座の白けることだけは救われたが、客たちの不満は明らかであった。叔母のまさ女は幾たびも蔭へ呼んでは怒った。
「それは高慢というものよ奈尾さん、そんなことではすみませんよ、来てくだすった方たちみんなを敵にしてしまうつもりですか」