Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちじょう

地上

島田 清次郎

Lisez 地上 (ちじょう) de 島田 清次郎 (しまだせいじろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 175 250 caractères · 350 écrans

Aozora Bunko

と冬子は嬉しそうに、幾分驚いて叫んだ。そして天野に、「わたしの親身の叔母のようにしている方でございますの」と、とりかくまうように言った。天野は沈黙のまま便所へ身を隠してしまった。

「小母さん、わたし、お別れして東京へ行かなくてはならないことになりましたの」

「――?」お光は恐ろしい戦慄に全身を寒くしていた。そして今、冬子の言葉を正当に了解できなかった。

「あの方」と冬子は眼で知らした。

「東京の方ですの。わたしあの方にお世話になることになりましたの。小母さんに御相談する暇がないほどに急でしたの」

「どなた、何という方?」とお光はたずねた。

「天野栄介という方」

「天野――?」お光は呟いた。(彼奴!)とお光の全存在が、四十年の生涯に秘められてある「埋れたる過去」が叫んだ。(十数年のむかし、自分の姉の綾子を、自分の亡夫から奪って行ったあの悪魔、天野め! そして彼奴は今また、冬子を奪って行くのか。)

「失礼します」とお光は冬子に一礼して転ぶように土蔵裏の室へかえって来た。意識の底深くに貯えられていた「埋れたる過去」が熱情を帯びて生きて来た。それは苦しかった。(あの天野が冬子を連れてゆく。