Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ちじょう
地上
島田 清次郎
Lisez 地上 (ちじょう) de 島田 清次郎 (しまだせいじろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 175 250 caractères · 350 écrans
お信も涙をにじませていた。庭園の立木を透して降りそそぐ秋の夕日は寂しく二人を照した。
「ほんとにその子をお里さんにあげましょうか」
「ええ、ええ、容一郎さんはわたしの子ですのよ」二人は憎み合えないだけ、それだけ胸の痛手を深く秘めて寂しがっていなくてはならなかった。もう叔母と姪でなく、女と女、一人の恋しい男を守る二人の女であった。
「お里さんにも一人出来てもよさそうなものですのに」
「ええ」お里は恥と口惜しさで俯いて心では祈っていた。しかしお里には子は授からなかった。
次の年お信はまた生んだ。そうしてその出産はお信の生命の奪い手でもあった。しっかりと抱きあった、まる/\肥った健康らしい女の双児は、生まれ出るためにあまりに多くの血を母より奪ったのであった。忌わしい恋のために一生を捧げたお信は「あ」と言って閉じた双の瞳にちらと青白い燐光を燃やして息を引き取ったという。双児の一人は綾子であり、一人はお光なのであった。三十近くなっていた容太郎にとってお信の死は、忌わしい恋愛よりの解放であった。彼はまだ若かった。北野家に遺伝される善い素質が彼を彼の父が残した事業へ向かわしめた。