Classiques japonais avec furigana
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ちじょう
地上
島田 清次郎
Lisez 地上 (ちじょう) de 島田 清次郎 (しまだせいじろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 175 250 caractères · 350 écrans
もうお互いに純な少年でなくなったらしいのを彼は認めない訳にいかなくなった。平一郎は深い寂寥の真空に取り巻かれた全く孤独な自分をはっきり認識することがあった。外に照り輝き、温もり合うべき力は内に凝結して曙の知恵の力となって、真理を掴もうとしていた。
彼は次の夜が来たとき、一人で尾沢の家を訪れた。窓のカーテンを越して血のような幅広い光は路上に流れ出ていた。彼はかなりの人数が話しているらしい話し声を聴いた。幾度もたゆたうた後、彼は暗い階段を昇った。
「誰? 大河さん? おはいりなさい」
静子が目敏く見つけて、ためらっている彼の意識から「遠慮」をはぎとってしまった。彼は微笑して尾沢に会釈した。一つの火鉢を中心に、尾沢と静子ともう二人見知らぬ青年が坐っていた。一人は頭髪を黒々と美しく分けた血色のよい、袷に角帯をしめた大きな商店の番頭らしい風采で、もう一人は久留米絣の袷を着た学生らしい背の高い瘠せた男であった。平一郎は彼らにもお辞儀をした。
「大河さんという方。深井さんのお友達ですって。昨夜はじめていらしったの」
静子が彼を紹介してくれた。学生風の男は平一郎がまだ少年らしい中学生であることなどを知らないかのように「僕は宮岡と申します、どうぞ宜しく」