Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しおばな
塩花
豊島 与志雄
Lisez 塩花 (しおばな) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 421 caractères · 25 écrans
そうしながら彼は子供に話しかけて、彼の母親はもと波多野邸にいた人であること、彼等一家は空襲に罹災して焼け跡にバラック生活をしてること、周囲に菜園を拵えてること、などを知った。
千枝子が戻って来た。美しい青磁の鉢を持っていた。その鉢に彼女は、灰まみれの焼芋を盛りこんだ。芋は鉢にはいりきれなかった。
子供がすぐ駈けだしていった。
山口はそこに屈みこんだまま、灰のなかを掻き廻しながら、言いだした。
「あなたに、ゆっくりお逢いしたいと思っていました。」
千枝子はちらと眼を挙げて、また眼を伏せた。
「いろいろなことを、お話しして……。」
そこで、彼は閊えた。心の思いと言葉とが一致しなかった。ばかりでなく、突然、新たな想念がはいりこんできた。彼はこれまで、彼女を恋してると自分できめていた。恋している、それだけで充分だった。ところが、いま突然、結婚という想念が浮んできたのである。不思議なことに、三十五歳の現在まで、彼は幾度か縁談にも接したし、結婚を考えさせられる女性との交際もあったが、此度ばかりは、結婚などということを全然頭に浮べなかった。そういう想念を拒む何かが、彼女のうちにあったのであろうか、彼のうちにあったのであろうか、それとも終戦後の社会情勢のうちにあったのであろうか。