Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

なつのはな

夏の花・心願の国

原 民喜

Lisez 夏の花・心願の国 (なつのはな) de 原 民喜 (はらたみき) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 152 816 caractères · 310 écrans

Aozora Bunko

三人掛りで運ばれて来る、全身硝子の破片で引裂かれている中年の婦人、――その婦人の手当には一時間も暇がかかるので、私達は昼すぎまで待たされるのであった。――手押車で運ばれて来る、老人の重傷者、顔と手を火傷している中学生、――彼は東練兵場で遭難したのだそうだ。――など、何時も出喰わす顔があった。小さな姪はガーゼを取替えられる時、狂気のように泣喚く。

「痛い、痛いよ、羊羹をおくれ」

「羊羹をくれとは困るな」と医者は苦笑した。診察室の隣の座敷の方には、そこにも医者の身内の遭難者が担ぎ込まれているとみえて、怪しげな断末魔のうめきを放っていた。負傷者を運ぶ途上でも空襲警報は頻々と出たし、頭上をゆく爆音もしていた。その日も、私のところの順番はなかなかやって来ないので、車を病院の玄関先に放ったまま、私は一まず家へ帰って休もうと思った。台所にいた妹が戻って来た私の姿を見ると、

「さっきから『君が代』がしているのだが、どうしたのかしら」と不思議そうに訊ねるのであった。私ははっとして、母屋の方のラジオの側へつかつかと近づいて行った。放送の声は明確にはききとれなかったが、休戦という言葉はもう疑えなかった。