Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

やこうちゅう

夜光虫

織田 作之助

Lisez 夜光虫 (やこうちゅう) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 66 871 caractères · 134 écrans

Aozora Bunko

それに、履物がない。

「宿屋の女中さんに事情話して、著物貸して貰うかな」

「いや」

「どうして?」

「だって」

裸で来た理由を語るのは、あくまで避けたいらしかった。

「じゃ、どこか君の知っている所で著物貸してくれそうな所ないかね。君の使いになって、僕、行ってみるけど……」

「…………」

「ないのか」

「ええ」

「じゃ、僕が何とか工面して来てあげよう」

「お心当りありますのン?」

「まず、買うて来るより仕方がない。闇市……っていうのか、復員したばかりでよくは知らんが、そこへ行ったら売ってるんじゃないかな。金さえあれば、何でもあるってことだそうだから」

「でも、そんなお金……」

「大阪駅へ荷物預けて置いたんだ。毛布や何やかやあるから売れば金になるだろう」

「そんなン……気の毒ですわ」

「今から行って来るから、帰るまで待っていろ」

そう言って、小沢は出て行った。

その帰りを、雪子は待ち焦れているのだった。

勿論、著物を待っているのにはちがいないものの、しかし、何か恋人を待っているような甘い焦燥がないわけではなかった。

早く著物を持って帰ってくれれば、それを著て、そのまま小沢と別れて、いつも行くように、十時にハナヤへ行きたいと、思っていたが、しかし、小沢が帰って来ても、もはや何か小沢と離れがたいという気持もあった。