Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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やまとこじふうぶつし

大和古寺風物誌

亀井 勝一郎

Lisez 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) de 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 108 647 caractères · 215 écrans

Aozora Bunko

また天皇となられて後の御製に次のごとき名歌もある。

み吉野の 耳我の嶺に 時なくぞ 雪は降りける 間なくぞ 雨は降りける その雪の 時なきがごと その雨の 間なきがごと 隈もおちず 思ひつつぞ来し その山道を

この長歌はいついかなる時の御製であるか明らかではないが、右の短歌の激しい熱情に対し、憂いの調べの幽遠にこもっている名歌として私の愛唱するところである。即ち天武天皇は、「雄抜しく神武」くあらせられたのみならず、万葉前期の歌人として卓抜な手腕も有しておられたのである。前記群卿の陰謀による近江の軍を向うにまわして、或は山野に逃れ、軍を集め給い、実に言語に絶した労苦の後、これを平定して皇位につき給うた、この間の事情は書紀に詳かである故くりかえさない。また高市皇子尊の城上の殯宮の時に詠める柿本人麻呂の長歌(万葉集巻二)によって更に有名であろう。蓋し壬申の乱は、わが国史において未曾有の異変だった。乱の後、天武天皇として登位あそばされたのであるから、再びかかることのなきよう堅く御心に誓われたであろう。即ち天皇の信仰は、少くともこの乱の淵源を深く顧みたときの憂悩に発すると私は推察申し上ぐるのである。