Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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やまとこじふうぶつし

大和古寺風物誌

亀井 勝一郎

Lisez 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) de 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 108 647 caractères · 215 écrans

Aozora Bunko

聖武天皇の厚い祈念にも拘らず、その後も外戚の専断おさまらず、国民の状態また不安にして、御念願のとおりでなかったことは、史に明らかである。光明太后摂政とはいえ、もとより実権は藤原氏に在った。

太上天皇は御年五十六歳にしておかくれになったが、それより四年の後、淳仁天皇のみ代(天平宝字四年六月)光明太后は御年六十歳であとを追い給うた。十六歳のとき妃となられてより実に四十年あまりのあいだ、太后は藤氏の勢力の裡に在って、不如意のいのちを嘆かれつつ信仰と国政のためにおつくしになったのである。国政についてはもとより太后の御手腕を云々すべきではない。また生前の讃歌が、藤原一門なるゆえとのみ断ずるのも不当であろう。いま親しくそのお人柄を偲ぶべきよすがともなるものは続紀や伝説であるが、私は冒頭にひいた御歌も忘るることは出来ない。かような歌にこそ、光明皇后の親しい音声が、即ちいのちの息吹がこもっていると思うからである。

また今日正倉院に伝える多くの御物には、聖武天皇と光明皇后の御調度品が多いことは周知のところであろう。紀元二千六百年祝典の日に、上野帝室博物館で私も御物を拝観したが、あの華麗な工芸品の中には、光明皇后が愛蔵され、日夜身近く備えられて、にこやかにめでられた品もあったであろうと、皇后の余香を偲んだのである。