Classiques japonais avec furigana
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やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Lisez 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) de 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 108 647 caractères · 215 écrans
地獄のあらゆるものの身に即して化身する。化身即捨身即観世音であることは普門品をみるとき明らかであろう。したがって苦悩の表情は当然予想される。だがそういう表情は、即身化身捨身を通して貫通する永遠の法身の裡に吸収され摂取されてしまうのだ。そして摂取の上で、むしろ摂取の刹那に、間髪をいれずあの幽遠の微笑が頬に浮びあがるのである。しかもなお救いつくされぬ悲心をもこめて。かかる摂取の微妙さはいかなる西洋彫刻にもみられない。ルネッサンス以来、人間に終始した西洋彫刻のついに及ばなかった大事の一点でなかろうか。
わが国人がかような仏像を拝し念じたとすれば、おそらくここにちがいない。経文によっても証明される。法悦の至境はおのずからなる摂取にある。摂取不捨の姿に身も心も投げすててぬかずいたのだ。仏陀の哲学をはじめてうけとったときの飛鳥人を私は想像しないわけにゆかなかった。彼らは直ぐな心でこの教に陶酔したのであろう。理詰の思索よりも、一瞥して彼らはこの仏体に抱擁される自己を感じたに違いない。殉教者らしく悽惨な面影も、狂信者のもつ独善的姿もない。あたかも春の丘に腰をおろして雲雀をききながら、恋人を偲ぶように遠い印度の聖者を偲んでいるかのようだ。