Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Lisez 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) de 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 108 647 caractères · 215 écrans
更に日本の敗戦の理由を問われるならば、微笑の喪失にあったと答えたいのだ。私はこの言葉によって何を求めていたか。必ずしも口辺に浮んだ微笑のみではない。精神の或る健全な姿を求めていたのだ。おのずから、繊細な心、深い思いやり、隠れた愛情、慈悲、柔軟性、様々の表現を微笑という一語にふくめて、これを戦乱の巷に求めていたのであった。そういう日の自分の念頭には常に中宮寺の思惟像があり、光りの庭が夢幻のように浮びあがっていた。私にとってそれは微笑の泉のごときものであった。
*
古仏の微笑は云うまでもなく慈悲心をあらわしたものにちがいないが、これほど世に至難なものはあるまい。微妙な危機の上に花ひらいたもので、私はいつもはらはらしながら眺めざるをえない。菩薩は一切衆生をあわれみ救わねばならぬ。だがこの自意識が実に危険なのだ。もし慈悲と救いをあからさまに意識し、おまえ達をあわれみ導いてやるぞと云った思いが微塵でもあったならばどうか。表情は忽ち誇示的になるか教説的になるか、さもなくば媚態と化すであろう。大陸や南方の仏像には時々この種の表情がみうけられる。大げさで奇怪で、奥床しいところは少しもない。