Classiques japonais avec furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lisez 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 285 635 caractères · 558 écrans
この二人は、どちらも池田良斎の一行で、この白骨の湯で冬籠りをし、春の来るのを待って、飛騨の方面へ飛躍しようとする一味の者。
「お雪ちゃんは、とうとう運座へ出て来なかったね」
湯槽のふちにぼんのくぼをのせて、いい心持につかっていた小西新蔵が言う。
「うむ、出て来なかった。あの娘はこのごろ少しどうかしているよ」
と北原賢次が、かかとをこすりながら答える。
「そうだ、快活なあの娘が、このごろ少しふさいでいる、呼ばないでも出て来て、われわれを賑わしたあの子が、めっきり引込思案になってしまったのは気になるよ」
そこで二分間ばかり話が切れ、
「あの娘は看病に来ているんだよ――病人を連れて来てるんだね、その方が忙しいんだろう」
「え……病人を連れて、あの久助という老人のほかに、あの娘に連れがあったのかい」
「あったにもなんにも……だが、誰もまだ同じ宿にいながら、その人の姿を見た者が無いんだ、よほどの重体で枕が上らないんだろう」
「なるほど……その看病でお雪ちゃんが出て来られないのだな」
「多分、そんなことだろうと思う」
「それは何人だろう、あの娘の身うちの者か、それとも……」
「さっぱり正体がわからないんだ、また、強いて尋ねても悪かろうと遠慮もしているが、とにかく、身内の者には相違あるまい」