Classiques japonais avec furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Lisez 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 195 601 caractères · 387 écrans
軽い寝息、吐いて吸う軟らかな女の寝息、すういすういと竜之助の魂に糸をつけて引いて行くようです。ややあって寝返りの音。
髪の毛が枕紙に触る。中指が落ちたような、畳に物の音、上になり下になり軟らかい寝息。
「眠れぬ、眠れぬ、由ないところへ泊った」
竜之助は反側する。にわかに寝息が低くなって、そして聞えなくなる。枕許の水を、手さぐりにしてまた一口飲んでみる。
途絶えた寝息がまたすやすやと聞える。
「ああ」
懊悩した竜之助は、太い息を吐いて仰向けに寝返ると、お絹の寝間で軽い咳がする。
「眼が覚めたのかな」
枕許へ何か掻き寄せるような畳ざわりの音。お絹も、どうやら眼が覚めたらしい。
夜具を掻きのけたかと思われる様子で、やがてキューキューと帯を手繰るような音。竜之助の頭は氷のように透きとおる。
襖が開く、衣ずれの音。
「眠れますか。眠れますまいねえ」
襖の蔭から半身が見える、白羽二重に紗綾形、下には色めいた着流し。お絹は莞爾としてこっちを見ながら、
「わたしも眠れないから、お邪魔に来ましたよ、こんな永い秋の夜を一人で寝飽きるのもつまりませんからねえ。わたしの方へおいでなさいまし、面白いお話を致しましょうよ」