Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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たいしゅうぶんげいさほう

大衆文芸作法

直木 三十五

Lisez 大衆文芸作法 (たいしゅうぶんげいさほう) de 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 63 833 caractères · 126 écrans

Aozora Bunko

へ進んでいこうと思う。

読者大衆の「探偵小説」への欲求は、先ず何よりも次のような点から根本的には考えられるのではないだろうか。

即ち、これ迄の文学に於て、人間の感情生活、換言するなら個人生活を描くことは、既に充分に書き尽されて了ったかの感が深い。それらを同じように主題とした文学は、小説は、もうこれ以上新らしく現るべくもなく、又読者の充分な興味を惹くことも出来ないであろう。何故なら、時代は十九世紀から二十世紀へ進んでも、人間の感情生活は最早本質的には何ら新らしいものを生じなかったからに他ならない。勿論、新らしい意味を含んだ、目新らしい主唱は当今、盛んに行われている。けれども、それらは要するに経済的、社会的、政治的な理論を多分に含んでいるのに過ぎないのであって、経済的、社会的、或は政治的見地から観察するときは、重大な意味をもって来るには違いなかろうが、感情的には本質的に昔と変った、全く新らしい何ものをも有しないと云っていいだろう。

だが、成程、その点では十九世紀の文学に於ける揚合とは可成りに異ってきている。個人の生活に人間の社会生活を従属させていた十九世紀の文学、即ち、個人生活を主題としそれを説明し、解釈しようと試みた十九世紀の文学――小説と、個人生活が社会的集団生活に歪められ、そして個人生活よりも、より社会