Classiques japonais avec furigana
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てんしゅかくのおと
天主閣の音
国枝 史郎
Lisez 天主閣の音 (てんしゅかくのおと) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 38 941 caractères · 79 écrans
と香具師は鸚鵡返した。少し顔が蒼白くなった。
「おいおいお若いの、何が恐ろしい。恐ろしいことは些少ない。毒草が厭なら云い換えよう、薬草だよ、薬草だよ」
「ははあ成程、薬草なのか」香具師は顔色を恢復した。
「おい、お若いの、あの花を見な」
老人は一つの花を差した。五弁の藍色の花であった。
「何んだと思うな、この花を?」
「ふん、俺が何んで知る」
「亜剌比亜草よ、亜剌比亜草だ、絶対に日本には無い花だ。本草学にだって有りゃあしない。ところで此奴から薬が採れる。名付けて亜剌比亜麻尼と云う。一滴で人間の生命が取れる。殺人をすることが出来るのさ。……此奴は何うだ、知ってるかな?」
一つの花を指差した。白色粗※(「米+慥のつくり」、第3水準1-89-87)の四弁花であった。
「いいや、知らねえ、何んで知るものか」
「教えてやろう、虎白草だ。採れた薬を五滴飲ませると、間違い無しに発狂する。……扨、ところで此花は何うだ? 知っているかな、え、若いの?」
黄色い花を指差した。
香具師は黙って首を振った。
「教えてやろう、山猫豆だ。採れた薬を眼の中へ注ぐと一瞬にして潰れて了う。……此花は何うだ? 知ってるかな?」