Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

てんしゅかくのおと

天主閣の音

国枝 史郎

Lisez 天主閣の音 (てんしゅかくのおと) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 38 941 caractères · 79 écrans

Aozora Bunko

間もなく桜が咲き出した。そうして帰雁の頃となった。

或日宗春は軽装し、愛妾お半の方を連れ、他に二三人の供を従え、東照宮へ出かけて行った。彼には斯ういう趣味があった。一方豪奢な行列を調え、城下を堂々と練るかと思うと、他方軽輩の姿をして、地下の人達と交際のを、ひどく得意にして、好いたものである。

東照宮は長島町にあった。城を出ると眼の先であった。

境内の桜は満開で、花見の人で賑わっていた。赤前垂の茶屋女が、通りかけの人を呼んでいた。大道商人は屋台店をひらき、能弁に功能を述べていた。若い女達の花簪、若い男達の道化仮面、笑う声、さざめく声、煮売屋の釜からは湯気が立ち、花見田楽の置店からは、名古屋味噌の香しい匂いがした。

「景気は可いな。実に陽気だ」宗春の心も浮き立って来た。ぴらり帽子で顔を包み、無紋の衣裳を着ているので、誰も藩主だと気の附くものがない。それが宗春には得意なのであった。

と、一人の四十格好の香具師が、爛漫と咲いた桜樹の根元に、風呂敷包を置き乍ら、非常に雄弁に喋舌っていた。

「さあお立合い聞いてくれ。いいや然うじゃあねえ見てくれだ。唐土渡りの建築模型、類と真似手のねえものだ。