Classiques japonais avec furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lisez 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 681 caractères · 22 écrans
「もっとも以前は身分ある者と聴きました。切支丹とやらの引っ掛りで人別を抜かれ、非人の配下にされたとやらで、袖乞いをするほど暮しに困るわけでもなく、心静かに釣などをして暮している相でございます」
「――――」
「しかし、非人はやはり非人に相違御座いません、御掛り合い遊ばさぬのが上分別と存じます」
岡崎十次郎、一と通り世間並の諌めはしましたが、そんな生温いことで、諦める忠弘では無かったのです。
添い遂げることの出来ない相手と判ると、その思いは一段でした。遂には、
「その兄の宗次郎とやらを呼べ、直々に逢って、元の身分に返せるものなら返してやる」
忠弘の乗出しようは尋常で無かったのですが、当時の大名屋敷が、どんな事情があるにしても、いや、いかなる強力な暴君といえども、非人を屋敷に呼入れることなどは思いも寄らなかったのです。万々一そんな事が大公儀の耳へ入ったら、踵をめぐらす遑もなく、家祿を没収されて幾百千人の家臣は路頭に迷うことでしょう。
「それはなりません、非人乞食を御屋敷に呼び入れるなどは以ての外で」
こうなると、多勢の家来の方が強く、まごまごしたら伊予守忠弘、詰め腹を切らされるかもわからない情勢だったのです。