Classiques japonais avec furigana
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こどものとこや
子供の床屋
小川 未明
Lisez 子供の床屋 (こどものとこや) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 1 631 caractères · 4 écrans
一
一
町はずれに、大きなえのきの木がありました。その下に、小さな床屋がありました。円顔の目のくるりとした男が、白い上着を被て、ただ一人控えていましたが、めったに客の入っているのを見ませんでした。なんとなく、みすぼらしく、それに狭苦しい感じがしたからでしょう。
勇ちゃんも、年ちゃんも、学校へゆくときはその前を通りました。
「怖い顔をした、おじさんだね。」と、小さい声で勇ちゃんがいいました。
「僕のゆく床屋はきれいだよ、鏡が五つもあるよ、ここは、一つしかないね。」と、年ちゃんが、いいました。
「僕、こんなとこは、いくら安くてもやだな。」
「もっと、きれいでなければね。」
「そうさ。」
二人は、学校から帰ると、原っぱでボールを投げて遊んでいました。
「いいかい、カーブを出すよ。」
「オーライ。」
そのうちに、ボールはころがって往来のそばの深いみぞの中に落ちました。
「困ったね。」と、二人が下を見ていっているところへ、
「どれ、拾えないかな。」といって、顔を出したのは、思いがけない白い上着を被た床屋の主人でした。
「待っていな、いま取ってやるから。」と、主人は、自分の家へ走っていって長いさおを持ってきました。