Classiques japonais avec furigana
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まごしちとずんど
孫七とずんど
山本 周五郎
Lisez 孫七とずんど (まごしちとずんど) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 15 189 caractères · 30 écrans
寸度右衛門はさっさと陣へさがっていった。
その日は昏れがたにもうひと合せあった、孫七郎はそれにも出なかった、「どうもまだ合戦の気合がわからない」というのである、相手になると癇が立つばかりだから、寸度右衛門は恐ろしい眼で睨みつけ「どうとも自分の好いたようにしろ」そう云ってもう孫七郎のことは投げだしてしまった。……明くる早朝、搦手の攻撃がはじまると同時に、大手の兵もいよいよ決戦を挑んで陣を進めた。城の主将久野弾正は全兵をふた手に分け、よく防いでしばしば寄手を苦戦に追いつめた。およそ午前十時頃であろう石原寸度右衛門が左翼から中央へ突っ込もうとしていると、ふと向うに柿ノ木孫七郎の姿がみえた。いよいよやるか、そう思って見ていると、孫七は例のゆったりとした足どりで、ずっかずっかと合戦場のほうへ歩いてゆく、草鞋が重くてしようがないとでもいいたげな足どりである、そしてようやくかの八重桜の下へたどり着いたとみると、槍をそこへ置いて、やおら桜の枝のひとつへ跳びついた。――なにを、あいつ気でも違ったのか、寸度は眼を剥いた。まわりでは押しつ返しつ、敵も味方も必死になって闘っている、濛々と土埃が舞いたち、太刀や槍がきらきらと閃き飛んだ、わあんと耳を蔽う叫喚、ありとあるものが沸騰し揉み返す、まさに修羅場ともいうべき決戦のさなかで