Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lisez 完本 たぬき汁 (たぬきじる) de 佐藤 垢石 (さとうこうせき) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 133 158 caractères · 273 écrans
『日ごろ眤懇のよしみ、このままでは水臭い。どんな大事か聞かせてくれ』
『そうか――いや別ではないが、このたび大阪に戦の用意あるによって主人も出陣との沙汰がある。ついては、拙者もその仕度に出かけるところだ』
『それは大変だ』
『そこで、加賀山隼人も近々三百人ほどの家来を打ち立てしとのこと――貴公も隼人と同祿であるから三百人の家来を用意して出陣せずばなるまい』
亀右衛門は、こう言ってから口を一文字に結んで顔を緊張させた。これを聞いて、蔵人はその場で色を失ってしまったのである。
『面目ない。いま我らには金の蓄えが一文もご座らぬから、このたびの軍役は勤め難い。この申し訳に、帰宅の上切腹仕らん。貴殿との面会もただ今限りである』と、涙を払ってから『同じ家中の人々には、戦場にて討死なし、功を立てるものもあろうに、軍役が勤まらで、居ながら切腹する身はいよいよ武運尽きた。いざ、お別れ申さん』
と、蔵人は馬の頭を向け直し覚悟は充分であるという風があった。この体を見て亀右衛門は、
『これこれ、ちょっと待ってくれ、拙者も貴殿の宅まで同道しよう』
と、言いながら蔵人と馬の頭をならべて歩き出した。