Classiques japonais avec furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lisez 家 (いえ) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 141 411 caractères · 285 écrans
幸作は深い溜息を吐いた。
「実に妙なものです。ここは私も一つ蹈張らんけりゃ不可、と思って、大御新造の前では強いことを言っていますが……時々私は夢を見ます。大旦那が大黒柱に倚凭って、私のことを『幸作!』と呼んでいるような――あんなヒドイ目に逢いながら、私はよくそういう夢を見ます。すると、眼が覚めた後で、私はどんな無理なことでも聞かなければ成らないような気がします……」
こう話しているところへ、お雪が湯から帰って来た。三吉は妻の方を見て、
「オイ、幸作さんから橋本の薬を頂いたぜ」
「毎度子供の持薬に頂かせております」
とお雪は湯上りのすこし逆上せたような眼付をして、礼を言った。
幸作の話は若旦那のことに移った。小金の噂が出た。彼は正太の身の上をも深く案じ顔に見えた。
「実は御新造さんから手紙が来て、相談したいことが有ると言うもんですから、それで私も名古屋の方から廻って来ました」
「へえ、その為に君は出て来たんですか。そんなに大騒ぎしなくても可いことでしょう。豊世さんもあんまり気を揉み過ぎる」
「何ですか心配なような手紙でしたから、大御新造には内証で」
「そう突き散らかすと、反っていけませんよ」