Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
いえ
家
島崎 藤村
Lisez 家 (いえ) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 141 411 caractères · 285 écrans
シッカリとした老祖母が附いているだけに、親譲りの夏羽織などを着て、一寸訪ねて来るにも服装を崩さなかった。三吉のことを「兄さん、兄さん」と呼んでいるこの青年は年寄にも子供にも好かれた。
叔父は娘達を直樹と遊ばせようとしていた。こうして郊外に住む三吉は、自分で直樹の相手に成って、この弟のように思う青年の口から、下町の変遷を聞こうと思うばかりでは無かった。彼は二人の姪を直樹の傍へ呼んだ。黒い土蔵の反射、紺の暖簾の香――そういうものの漂う町々の空気がいかに改まりつつあるか、高い甍を並べた商家の繁昌がいかに昔の夢と変りつつあるか、曾て三吉が直樹の家に書生をしている時分には、名高い大店の御隠居と唄われて、一代の栄華を極め尽したような婦人も、いかに寄る年波と共に、下町の空気の中へ沈みつつあるか――こういう話を娘達にも聞かせた。
「俊、大屋さんの庭の方へ、直樹さんを御案内したら可かろう」
と叔父に言われて、お俊は花の絶えない盆栽棚の方へ、植木好な直樹を誘った。お延も一緒に随いて行った。
若々しい笑声が庭の樹木の間から起った。三吉は縁側に出て聞いた。無垢な心で直樹や娘達の遊んでいる方を、楽しそうに眺めた。