Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

いえ

家

島崎 藤村

Lisez 家 (いえ) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 748 caractères · 254 écrans

Aozora Bunko

こういう話をしているところへ、宿の下婢が船の時間を知らせに来た。東京の方へ出る汽車が有ると見えて、宿を発って行く旅人も有った。

「汽車が出るそうな」とお種は聞耳を立てた。「丁度好い――この汽車に乗らっせるが可い」

「伊東まで行く思をして御覧な」と達雄は言った。「なにも、そんなに周章てなくても好い。汽車はいくらも出る」

「でも、貴方は、一日を争う身だなんて仰っていらしったで……それほど大切な時なら、一汽車でも早く東京へ入った方が好からずと思って」

「まあ、船までお前を送ってやるわい」

多忙しがっている人に似合わず、達雄はガッカリしたように坐って、復た煙草を燻し始めた。何となく彼は平素のように沈着いていなかった。

停車場の方では、汽車の笛が鳴った。達雄は一向それに頓着なしで、思い屈したように、深く青い海の方を眺めていた。

そのうちに、伊東行の汽船の出る時が来た。夫婦は宿を出て、古い松並木の蔭から海岸の方へ下りた。細い砂を踏んで、礫のあるところまで行くと、そこには浪が打寄せている。旅人の群も集って来ている。艀に乗る男女の客は、いずれも船頭の背中を借りて、泡立ち砕ける波の中を越さねば成らぬ。