Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

さびしきうお

寂しき魚

室生 犀星

Lisez 寂しき魚 (さびしきうお) de 室生 犀星 (むろうさいせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 800 caractères · 10 écrans

Aozora Bunko

それは古い沼で、川尻からつづいて蒼くどんよりとしていた上に、葦やよしがところどころに暗いまでに繁っていました。沼の水はときどき静かな波を風のまにまに湛えるほかは、しんとして、きみのわるいほど静まりきっていました。ただ、おりおり、岸の葦のしげみに川蝦が、その長い髭を水の上まで出して跳ねるばかりでした。

その沼はいつごろからあったものか誰も知らない。涸れたこともなければ、減ったこともなく、ゆらゆらした水がいつも沼一杯にみなぎっていた。そのうえには、どんよりした鉛筆でぼかしたような曇った日ざしが、晩い秋頃らしく、重く、低い雲脚を垂れていたのです。

そこには非常に古い一匹の魚が住んでいて、岸の方の葦のくらやみに、ぼんやりと浮きあがっていました。かれは水中の王者のように、その大きなからだを水面とすれすれにさせながら、いつも動かず震えもしないで、しずかに、ゆっくりと浮きあがっていたのです。その魚の藍ばんだ鱗には、のめのめな水苔が生えていて、どれだけ古く生きていたかが解るのでした。ただに鱗ばかりではなく、尾やひれまでに微塵な、水垢のようなこまかい藻のようなものが生え、それが顫えるということもなく、かれのからだ一面に震えていました。