Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ならしげざっぴつ

小出楢重随筆集

小出 楢重

Lisez 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) de 小出 楢重 (こいでならしげ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 334 351 caractères · 657 écrans

Aozora Bunko

これには少し弱った。一刻もこんな穢らしいものを捨てておけないと私は考えたが、今さら掃除を命じるのはくやしいから、掃除位なんだと私は叫んで箒を持ってめし粒を掃き寄せ、襖の穴へは紙を貼った。流れ込んだ茶漬は仕方がないからそのまま封じ込めてしまった。

その後私はその襖を見るたびにこの中には、あのめし粒が入っているんだなと思うのである。

まずそんないろいろの悩ましき障害から、私は春になったら花を描いてみよう、桃のある間にあすこへ出かけて二、三枚制作してみようなど数年来同じことを考えていながら、ただそわそわとしてまだ一枚の春らしい絵も作らず、今年こそ今年こそと思いつつこの季節を逃してしまうのである。

ようやくにして多少の猥褻の気を含める桜の花も散りはて、柿の若葉が出揃い、おたまじゃくしが蛙となって鳴き出す頃、初めて私の神経がややもとの鞘へ収まろうとするのである。もう世の中全体の浮気も一段落を告げ、もはや何を見ても満目青いことである。それからだんだん自然の青さと暑さは増すばかりだ。

この青さと暑さが私にとってよい合薬だ。私は私の故郷へでも帰った心地がする。もう電車や汽車に乗っても、酔っぱらった青年団や旗を持った運動会にも出会わない。