Classiques japonais avec furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lisez 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) de 小出 楢重 (こいでならしげ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 334 351 caractères · 657 écrans
四月、そわそわうそうそと血の動揺を感じる。何かじっとしてはいられないといって何をしていいのかわからないという苦悶を感じ、ただもやもやと暮す日多し。
五月、光と空気と、青葉と温度が身に適し何となく爽快を感じる。少しずつ神経の安定を覚え、何か大いに風景写生でもやってみたく思う。
六月、天気が続く、本当に何かしたいと思っていると梅雨の季節に入る。雨を眺めて何となく悩み多くなる。美人を美しと見る日多し。
七月、この月の前半、雨なお多く、雷も鳴る。私は夕立ちを好む。
ところで何故か毎年、この頃より生活上の夏枯れの節に入る。何か売り払ってみたくなる。結局なるべく外出を見合わせ、蚊に食べられたところをかくことをもって楽しみとなす。
八月、毎年の行事である研究所主催の講習会が一日から始まる。朝寝は禁物、九時から午後三時までの労働である。家へ帰ってもなお心の底へ木炭とパンの屑とが溜っている如く感じる。このこと二週間続くのである。そのへとへとのままにして二科へ出す絵を整理し発送するのである。一年間の収穫の貧弱さに気を悪くしているところへ出品画の批評を持ち込まれるのである。