Classiques japonais avec furigana
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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
Lisez 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) de 徳冨 蘆花 (とくとみろか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 129 742 caractères · 256 écrans
四月十八日の夜でした、悴が少しいい方でやすんでいますから、婢なぞもみんな寝せまして、私は悴の枕もとに、行燈の光で少し縫い物をしていますと、ついうとうといたしましてね。こう気が遠くなりますと、すうと人の来る気はいがいたして、悴の枕もとにすわる者があるのです。たれかと思って見ますと、あなた、良人です、軍服のままで、血だらけになりまして、蒼ざめて――ま、あなた、思わずいったその声にふッと目がさめて、あたりを見るとだれもいません。行燈の火がとろとろ燃えて、悴はすやすや眠っています。もうすっかり汗になりまして、動悸がはげしくうって――
その翌日から悴は急にわるくなりまして、とうとうその夕刻に息を引き取りましてね。もう夢のようになりましてその骸を抱いているうちに、着いたのが良人が討死の電報でした」
話者は口をつぐみ、聴者は息をのみ、室内しんとして水のごとくなりぬ。
やや久しゅうして、老婦人は再び口を開けり。
「それから一切夢中でしてね、日と月と一時に沈ったと申しましょうか、何と申しましょうか、それこそほんにまっ暗になりまして、辛抱に辛抱して結局がこんな事かと思いますと、いっそこのままなおらずに――すぐそのあとで臥病ましたのですよ――と思ったのですが、幸か不幸か病気はだんだんよくなりましてね。