Classiques japonais avec furigana
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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
Lisez 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) de 徳冨 蘆花 (とくとみろか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 129 742 caractères · 256 écrans
南縁暄を迎うるにやあらん、腰板の上に猫の頭の映りたるが、今日の暖気に浮かれ出でし羽虫目がけて飛び上がりしに、捕りはずしてどうと落ちたるをまた心に関せざるもののごとく、悠々としてわが足をなむるにか、影なる頭のしきりにうなずきつ。微笑を含みてこの光景を見し浪子は、日のまぶしきに眉を攅め、目を閉じて、うっとりとしていたりしが、やおらあなたに転臥して、編みかけの韈をなで試みつつ、また縦横に編み棒を動かし始めぬ。
ドシドシと縁に重やかなる足音して、矮き仁王の影障子を伝い来つ。
「気分はどうごあんすな?」
と枕べにすわるは姑なり。
「今日は大層ようございます。起きられるのですけども――」と編み物をさしおき、襟の乱れを繕いつつ、起き上がらんとするを、姑は押しとめ、
「そ、そいがいかん、そいがいかん。他人じゃなし、遠慮がいッもンか。そ、そ、そ、また編み物しなはるな。いけませんど。病人な養生が仕事、なあ浪どん。和女は武男が事ちゅうと、何もかも忘れッちまいなはる。いけません。早う養生してな――」
「本当に済みません、やすんでばかし……」
「そ、そいが他人行儀、なあ。わたしはそいが大きらいじゃ」