Classiques japonais avec furigana
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しょうせつ えんちょう
小説 圓朝
正岡 容
Lisez 小説 圓朝 (しょうせつ えんちょう) de 正岡 容 (まさおかいるる) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 163 270 caractères · 325 écrans
というやつが、しきりに頭へ手をやって閉口している姿がハッキリと目の前に見えるようだった。
ウム、それならば――。
はじめて相手は破顔一笑したらしく、
やれ、元気をだしてやれ。
お前は何もおもうことはない、不平も不満も希望すらも要らない、まだいまのうちは。
ただただここの家に置かせていて貰うってことだけでいいとしろ。
前途も糞もあるものか、ただ現在――現在だけをありがたいと三拝九拝していろよ、そこからきっと「路」が拓ける。
でも、でも、そんな「路」が拓けるなんてことはずっと、ずうっと、あとのことだ。
くどいようだが、いまのこうやっていられることただそれだけを、ありがたいものにおもえ。そうおもう修業をしろ。
二度とこんな了見違い起すと、ほんとに取り返しのつかないことになるぞ。
いいな、分ったな。
「……わ、分りました」
思わず大きな声立てて叫んだ。我れと我が声で、ハッと小圓太は気が付いた。冬日かがやいている柚の木の下、竹箒握りしめて果てしなき物思いに沈んでいた自分だった。少し汚れたおしきせの黒紋付の肩先へ、ふたひら三ひら何かの落葉がふりかかっていた。あわてて振り落とすと小圓太は、またしても辺りを見廻した。