Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こうじょうしんぶん

工場新聞

徳永 直

Lisez 工場新聞 (こうじょうしんぶん) de 徳永 直 (とくながすなお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 7 771 caractères · 16 écrans

Aozora Bunko

三

「…………」

タツは、まだ決心つかずにいた。

「あたし、まだ無学だから」

タツは自分でもツマランと思いながら、そんな返事をした。

「そんなことあるもんか、一ノ組から、早川君もいくよ」

「早川って、トリちゃん?」

「そうだ」

松本は、課長席の方へ気を配って、籠札なんぞしらべるふりをした。

「それに、明日は日曜じゃないか」

タツはまだ考えていた。

「アトで、も一度くるから……ね」

そういって、松本は隣の台へいった。小柄な商業学校出の、この若い工手待遇の書記は、みんなから「眼玉の松ちゃん」でとおっていた。

「いってみようか?」

タツはそう思った。――トリちゃんもゆくんだから――。

でも若しか、課長さんにバレたら――彼女はそう思うと背筋が寒いような気がした。二銭ずつ昇給して、やっと五十八銭までなった彼女と、一ヵ月十二円の弟の給料で、失業者の父親はじめ六人家族がくらしている彼女の家庭――。

「だって、トリちゃんちだって、みんな同じだ」

そう思うと、急に元気が出た。お正午の時間に、廊下で松本をめっけると、タツは「ゆく」と返事した。

三

書記松本のうちは、三田四国町の停留所から右の路地を入った小さい二階長屋だった。