Classiques japonais avec furigana
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こうじょうさいぼう
工場細胞
小林 多喜二
Lisez 工場細胞 (こうじょうさいぼう) de 小林 多喜二 (こばやしたきじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 91 234 caractères · 184 écrans
だが、さすがにこの赤色別荘は、一銭の費用もかゝらないし、喜楽的などころか、毎日々々が鉄の如き規律のもとに過ぎてゆくのだ――然し、それは如何にも俺だちにふさわしいので、面白いと思っている。
「さ、これから赤色体操を始めるんだぞ。」
独房の中で「ラジオ体操」をやる時には、俺は何時でもそう云っている。こゝが赤色別荘なら、こゝでやるラジオ体操も従って赤色体操なわけである。
俺は元気よく、力一杯に手を振り、足をあげる。
松葉の「K」「P」
運動場は扇形に開いた九つのコンクリートの壁がつッ立ッていて、八つの空間を作っている。その中に一人ずつ入って、走り廻わる。――それを丁度扇の要に当る所に一段と高い台があって、其処に看守が陣取り、皆を一眼に見下している。
俺だちの関係で入ったものは、運動の時まで独りにされる。ゴッホの有名な、皆が輪になって歩き廻わっている「囚人運動」は、泥棒か人殺連中の囚人運動で、俺だちの囚人運動は矢張りゴッホには描けなかったのだろう。
俺はその中で尻をはしょって、両肌ぬぎになり、おイちニ、おイちニ、と馳け足をはじめる。二十分だ。俺は運動に出ると、何時でも、その速力の出し工合と、身体の疲労の仕方によって、自分の健康に見当をつける素朴な方法を注意深く実行している。