Classiques japonais avec furigana
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こうじょうさいぼう
工場細胞
小林 多喜二
Lisez 工場細胞 (こうじょうさいぼう) de 小林 多喜二 (こばやしたきじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 91 234 caractères · 184 écrans
二
の焼ける匂いと一緒に、賑やかに聞えてきた。
この日、Yの「合同労働組合」のビラは「H・S工場」へ三百枚程入った。職場々々の「職長」さえもビラを持っていた。然し、そのビラのことは食事中ちっとも誰もの話題にならなかった。
飯が終って、森本が遅く階段を降りてくると、段々のところ/″\や、工場の隅々に、さっきのビラが無雑作にまるめられたり、鼻紙になったり、何枚も捨てられているのを見た。――彼はありありと顔を歪めた。
二
「H・S製罐会社」は運河に臨んでいた。――Y港の西寄りは鉄道省の埋立地になって居り、その一帯に運河が鑿られている。運河の水は油や煤煙を浮かべたまゝ澱んでいた。発動機船や鰈のような平らべったい艀が、水門の橋梁の下をくゞって、運河を出たり入ったりする。――「H・S工場」はその一角に超弩級艦のような灰色の図体を据えていた。それは全く軍艦を思わせた。罐は製品倉庫から運河の岸壁で、そのまゝ荷役が出来るようになっていた。
市の人は「H・S工場」を「H・S王国」とか、「Yのフォード」と呼んでいる。――若い職工は帰るときには、ナッパ服を脱いで、金ボタンのついた襟の低い学生服と換えた。