Classiques japonais avec furigana
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へいぼん
平凡・私は懐疑派だ
二葉亭 四迷
Lisez 平凡・私は懐疑派だ (へいぼん) de 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 81 548 caractères · 161 écrans
が、今となって考えて見ると、不平に思ったのは私が未だ若かったからだ。監督を頼まれたから、引受けて、序に書生にして使う、――これが即ち親切というもので、此の外に別に親切というものは、人間に無いのだ。有るかも知れんが、私は一寸見当らない。
三十二
体好く書生にされて私は忌々しくてならなかったが、しかし其でも小狐家を出て了う気にはならなかった。初の中は国元へも折々の便に不平を漏して遣ったが、其も後には弗と止めて了った。さればといって家での取扱いが変ったのではない。相変らず書生扱にされて、小ッ甚くコキ使われ、果は下女の担任であった靴磨きをも私の役に振替えられて了った。無論其時は私は憤激した。余程下宿しようかと思った、が、思ったばかりで、下宿もせんで、為せられる儘に靴磨きもして、而して国元へは其を隠して居た。少し妙なようだが、なに、妙でも何でもない。私は実は雪江さんに惚れていたので。
惚れては居たが、夫だから雪江さんを如何しようという気はなかった。其時分は私もまだ初心だったから、正直に女に惚れるのは男児の恥辱と心得ていた。女を弄ぶのは何故だか左程の罪悪とも思って居なかったが、苟も男児たる者が女なんぞに惚れて性根を失うなどと、そんな腐った、そんなやくざな根性で何が出来ると息巻いていた。