Classiques japonais avec furigana
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ひらがげんないとりものちょう
平賀源内捕物帳
久生 十蘭
Lisez 平賀源内捕物帳 (ひらがげんないとりものちょう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 19 159 caractères · 39 écrans
最初、角のある石のようなもので撃ったが、目的を達することが出来なかったので、今度は細身の刀ででも斬りつけたのにちがいない。撃った創と斬った創が、同じ場所で重り合うようなことは、あまり例のないことであろうが、百に一つぐらいのうち、こんな偶然は考えられぬこともないわけ。
これが、検死の御用医の意見。
まあまあ、一応の筋は通っている。ところで、その下手人は、いったいどこから来た。
雪の上には、殺された娘の差下駄の跡しかない。
沼の縁はもとより、一帯の湿地で、かなり天気の続いた後でも、下駄の歯をめり込ますこの太田の原。その上に、ふんわり積んだ春の雪。
三町四方もあるだだっ広い雪の原のうえに、藪下の方から真直に続いている殺された娘の二の字の下駄の跡だけ。その他には馬の草鞋はおろか、犬の足跡さえない。すがれた葭と真菰の池の岸まで美しいほどの白一色。
ちょうど、雪が降り止んだ頃にこの原へ差しかかったことは、娘の身体に雪が降り積んでいないことによってはっきりとわかる。
すると、下手人は、どこから来て、どんな方法でこの娘を殺したのかということになる。
(するてえと、こりゃア、手傷を負ったままやって来て、いよいよいけなくなってここでぶッくらけえったんじゃありませんかしらん。