Classiques japonais avec furigana
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ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
Lisez 幼年時代・晩夏 (ようねんじだい) de 堀 辰雄 (ほりたつお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 85 965 caractères · 169 écrans
そんな事で、去年はその家を借りるのを見あわせ、もう一方の、同じ林の中にあった、もっと小さな、もっときたない家で間に合わせた。
が、今年はその爺やの小屋も取壊したし、いろいろ手を入れたので幾らかさっぱりしたから、どうですかあれをお借りになっては、と不二男さんもすすめるので、私は性懲りもなくもう一遍その豆の花の咲く小家を借りようかと思い立って、再びそれを見に来たわけだった。――
その小家が急に若葉の中から私達に見え出して来たとき、何んだかすっかり様子が違っているのですぐにはそれと気づかなかった位であった。おやと思って、私はおもわずその場に足を駐めた。
「あ、あの豆の棚をとってしまったの?」私はひどくびっくりしたように叫んだ。
「ええ、あれはあのままですと、どうもこちらの三枝さんのお家へあまり真向になるので……」不二男さんはいかにも何んでもなさそうに説明した。「ちょっと斜めに道をつけてみましたが……」
「それは惜しいことをしちゃったなあ。」私はこんどはがっかりしたように言った。
そうして不二男さんと妻とがずんずんその新しい小径から中へはいって行ってしまってからも、私はなお暫くその入口に一人残ったまま、お隣りの三枝さんの別荘の、数本の松の木にちょっと一もと芒をあしらっただけの、生籬もなんにもない、瀟洒な庭を少し恨めし