Classiques japonais avec furigana
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ゆうれいせんのひみつ
幽霊船の秘密
海野 十三
Lisez 幽霊船の秘密 (ゆうれいせんのひみつ) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 30 846 caractères · 62 écrans
南方航路
そのころ太平洋には、眼に見えない妖しい力がうごいているのが感じられた。
妖しい力?
それは一体なんであろうか。
ひろびろとしたまっ青な海が、大きなうねりを見せてなんとなく怒ったような表情をしているのだ。
ときどき、水平線には、一条の煙がかすかにあらわれ、やがてその煙が大きく空にひろがっていくと、その煙の下から一つの船体があらわれる。
それは見る見るどんどんと形が大きくなり、やがてりっぱな一艘の汽船となつて眼の前をとおりすぎる。
黄色の煙突、白い船室、まっ黒な船腹、波の間からちらりとみえる赤い吃水線、すんなりと天にのびた檣――どれもこれも絵のようにうつくしい。見たところ、平和そのものである。
だが、波浪は、なんとなしに、怒った表情に見える。船の舳を噛む白いしぶきが、いまにも檣のうえまでとびあがりそうに見える。どんと船腹にぶつかった大きなうねりが、その勢いで汽船をどしんと空中へ放りあげそうに見える。なにか、海は感情を害しているらしいのだ。
こんな噂もある。
太平洋に、やがて空前の大海戦がはじまるだろう。それは遅くとも、あと半年を待たないだろう。