Classiques japonais avec furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lisez 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 195 333 caractères · 385 écrans
僕はそんな風に生みつけられた男なのである。ところが二カ月の末になって、僕は突然自分の片意地を翻がえさなければ不利だという事に気がついた。実を云うと、僕と田口と疎遠になればなるほど、母はあらゆる機会を求めて、ますます千代子と接触するように力め出したのである。そうしていつなんどき僕の最も恐れる直接の談判を、千代子に向って開かないとも限らないように、漸々形勢を切迫させて来たのである。僕は思い切って、この危機を一帳場先へ繰り越そうとした。そうしてその決心と共にまた田口の敷居を跨ぎ出した。
彼らの僕を遇する態度に固より変りはなかった。僕の彼らに対する様子もまた二カ月前の通りであった。僕と彼らとは故のごとく笑ったり、ふざけたり、揚足の取りっくらをしたりした。要するに僕の田口で費やした時間は、騒がしいくらい陽気であった。本当のところをいうと、僕には少し陽気過ぎたのである。したがって腹の中が常に空虚な努力に疲れていた。鋭どい眼で注意したら、どこかに偽の影が射して、本来の自分を醜く彩っていたろうと思う。そのうちで自分の気分と自分の言葉が、半紙の裏表のようにぴたりと合った愉快を感じた覚がただ一遍ある。