Classiques japonais avec furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lisez 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 195 333 caractères · 385 écrans
で、今夜は少し癪も手伝って、飲みたくもない麦酒をわざとポンポン抜いて、できるだけ快豁な気分を自分と誘って見た。けれどもいつまで経っても、ことさらに借着をして陽気がろうとする自覚が退かないので、しまいに下女を呼んで、そこいらを片づけさした。下女は敬太郎の顔を見て、「まあ田川さん」と云ったが、その後からまた「本当にまあ」とつけ足した。敬太郎は自分の顔を撫でながら、「赤いだろう。こんな好い色をいつまでも電灯に照らしておくのはもったいないから、もう寝るんだ。ついでに床を取ってくれ」と云って、下女がまだ何かやり返そうとするのをわざと外して廊下へ出た。そうして便所から帰って夜具の中に潜り込む時、まあ当分休養する事にするんだと口の内で呟いた。
敬太郎は夜中に二返眼を覚ました。一度は咽喉が渇いたため、一度は夢を見たためであった。三度目に眼が開いた時は、もう明るくなっていた。世の中が動き出しているなと気がつくや否や敬太郎は、休養休養と云ってまた眼を眠ってしまった。その次には気の利かないボンボン時計の大きな音が無遠慮に耳に響いた。それから後はいくら苦心しても寝つかれなかった。