Classiques japonais avec furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lisez 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 195 333 caractères · 385 écrans
その癖自分のかけ方の自分としては少し横風過ぎた事にはまるで気がつかない性質であった。
小川町の角で、斜に須永の家へ曲る横町を見た時、彼ははっと例の後姿の事を思い出して、急に日蔭から日向へ想像を移した。今日も美くしい須永の従妹のいる所へ訪問に出かけるのだと自分で自分に教える方が、億劫な手数をかけて、好い顔もしない爺さんに、衣食の途を授けて下さいと泣つきに行くのだと意識するよりも、敬太郎に取っては遥かに麗かであったからである。彼は須永の従妹と田口の爺さんを自分勝手に親子ときめておきながらどこまでも二人を引き離して考えていた。この間の晩田口と向き合って玄関先に立った時も、光線の具合で先方の人品は判然分らなかったけれども、眼鼻だちの輪廓だけで評したところが、あまり立派な方でなかった事は、この爺さんの第一印象として、敬太郎の胸に夜目にも疑なく描かれたのである。それでいて彼はこの男の娘なら、須永との関係はどうあろうとも、器量はあまりいい方じゃあるまいという気がどこにも起らなかった。そこで離れていて合い、合っていて離れるような日向日蔭の裏表を一枚にした頭を彼は田口家に対して抱いていたのである。