Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
わすれのこりのき
忘れ残りの記
吉川 英治
Lisez 忘れ残りの記 (わすれのこりのき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 193 050 caractères · 383 écrans
そしてまだ九ツに過ぎない幼い妹が、お客からツリ銭の端を貰う毎に可憐らしくも貯めている小銭を巻きあげて、買喰いと芝居の立見に費ってしまった。
その頃読んだハムスンの“飢え”の中に、主人公がいささかな腐肉の附いた牛骨を道で拾い、それを齧ったあげく路傍でヘドを吐くところがある。あの主人公とおなじ飢渇がぼくの眼をぎらぎらさせていた事だったろう。何しろ家にいるのが辛いばかりに、毎日家を出て唯ウロついていたのである。或る晩はベンチに寝て、ついに家に帰らなかった。「穀つぶし」と呶鳴った父の顔をえがくと、いつまでもこの儘でいたいし、母の姿を思い出すと無性に母のそばへ帰りたくなった。
そのうちに公園で知った不良仲間に連れられて、第二波止場の埋立て地へ、やっと仕事に通うようになった。
今でいう土建屋の仮事務所みたいな物が埋立て地のまん中にあった。朝、首を揃えて集まると、その日その日、いろんな雑役を親方から命じられる。杭打ちと称するヨイトマケの女たちも手甲脚絆で大勢集まった。幾十組ものヨイトマケの唄声で今の第二桟橋辺の広大な埋立て地の毎朝が明けていたといってよい。ぼくらは市内への使い走りだとか、弁当配りだとか、暇があると丸太担ぎもやらせられるといった風に追い廻されていた。