Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

わすれのこりのき

忘れ残りの記

吉川 英治

Lisez 忘れ残りの記 (わすれのこりのき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 193 050 caractères · 383 écrans

Aozora Bunko

そしてT氏とも親しく会い、ぼくの次弟素助の身も頼んで帰った。又、それから後、どういう工面をしたものか、母は一家をまとめて、東京へ移って来た。

行ってみると、本所緑町のガード下に借家していた。見るからにひどい家だ。湿度もだが、光線の入る所がない。父の病気の為にもわるかろう。さっそく、ほかを探すことを母にすすめた。

それはよいが、家に居るものと思っていた次女のカエが見えないので、母に訊ねると、長野県のS市へ行っているという。土地で一流の旅館料理を営んでいる人が、将来の事もかたく約してくれたので、カエにとっても、むしろ幸福であると、養女にやったというのである。

ぼくは、どきっとした。前に、幼い浜子を、遠くへ出して、諦めきれない死を見てもいるので、「大丈夫?」と念を押した。母は充分先方を信じているらしく、「こんどは、前のような人の世話じゃないから……」と、いかに先の養父母となる人が好人物か、土地での有力者であるかなどを、話して聞かせた。けれど誰の世話で、どんな形式でやったのか、その辺は語りもしない。多少、世路の複雑を舐め歩いたぼくには、母の信じ方が、危ぶまれてならなかった。