Classiques japonais avec furigana
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おんがくどけい
性に眼覚める頃
室生 犀星
Lisez 性に眼覚める頃 (おんがくどけい) de 室生 犀星 (むろうさいせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 495 caractères · 22 écrans
ヒッポドロム
曇天の灰白い天幕が三角型に、煉瓦の塔の際に、これも又曇った雪ぞらのように真寂しく張られてあった、風の激しい日で、風を胎んだ天幕の脚が、吹き上げられ、陰気な鳴りかぜが耳もとを掠めた、その隙間に、青い空が広濶とつづいていた。
真赤な肉じゅばんを着た女が、飴色の馬上であきの蜻蛉のような焼けた色で、くるくる廻っていた。馬の顔はだんだんに膨れ、臼のようになったところに、女の紅い脚は、さかさまにぐいと衝き立てられ、踵の、可愛い靴さきが腰部から次第に細まっているだけ、なお、馬の背中の上の、これも逆に顎さきを立てた顔が捩じられた。――くるくる廻っている馬の影が、柔らかい木屑の土俵の上に、ちぢまりながら趁い行き、ふくれて停まるとき、れいの臼のような顔だけが映っていた。
ふしぎなことは紅い服の女の姿は、まるで小さい影絵のようにふらふらしている間に、フイに消えてしまった。そしてこんどは、暗い肌衣をした蝙蝠色の瞳をした女が、はりがねの上をつるつる辷っていた。鬼灯色の日傘をさし、亀甲のような艶をした薔薇色の肌をひらいて、水すましのように辷っては、不思議なうすい藍ばんだ影を落していた。