Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ハムレット

怪奇探偵小説傑作選3 久生十蘭集 ハムレット

久生 十蘭

Lisez 怪奇探偵小説傑作選3 久生十蘭集 ハムレット (ハムレット) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 72 034 caractères · 142 écrans

Aozora Bunko

「祖父江さん、いつもあなたといっしょにいられる、あの立派なご老人はどういうかたなのですか。お差つかえなかったら、われわれにもご紹介ねがいたいですね」

祖父江は薄闇の籐椅子に掛け、もう赤く光りはじめた煙草の火を見つめていたが、まもなく顔をあげるとこんなことをいった。

「たぶんみなさんは、あのあやしげな老人はいったいなにものだと、おたずねになっていられるのだと思いますが、あなたがたのご満足を得るようにするには、あの老人の再生のお話をするのがいちばん手っとり早いようです」

「なるほど、あの老人はこんど公民権を回復した一人だったのですね」

「いや、わたしの再生というのは、墓の下から出て来たという意味です」

「墓というと」

「人を葬る、あの墓のことです」

なんともいいようのない不快な感じに襲われ、みないちように身ぶるいした。ホテルの芝生に霧が川のように流れ、たしかにうすら寒い夕方でもあった。

「黒岩涙香の『白髪鬼』という小説がありましたが、あなたのお話もなにかそんなふうなロマネスクな匂いがしますね」

「あの復讐綺談はわたしも少年のころに読みました。あの話にはこしらえものにつきもののこじつけや矛盾があって、それが一種の救いになっていますが、あのひとの過去には、残念ながらそういうものは一つもありませんでした」