Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おそろしきつや

恐しき通夜

海野 十三

Lisez 恐しき通夜 (おそろしきつや) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 15 092 caractères · 30 écrans

Aozora Bunko

そのために、当時、鮎川紅子と名乗っていた彼女は、愛の殿堂にまつりあげておいた婚約者の竹花中尉を、永遠に喪ってしまったのだった。

いわば、今宵の良人射殺事件は、あたかも竹花中尉の敵打ちをしたようなものだった。この隠れた事実を、紅子が知ったのは、極く最近のことで、それを教えたのは、炯眼きまわる大蘆原軍医だった。今夜の紅子の登場も、無論、軍医の書いたプログラムの一つだった。

ここへ来て、この軍医を賞讃する前に、読者諸君は、すこし考えてみなければならない。それは、いくら愛する妹の復讐とは云え、彼女の産みおとしたものを、人間に喰わせるという手段が、人道上許されるものであろうかどうか。奇怪にも友人の細君だった婦人を、狎れ狎れしく、かき抱いてゆく大蘆原軍医は、誰よりも一番恐ろしい、鬼か魔かというべき人物ではあるまいか。

それはそれとして、二人の姿が、戸外の闇に紛れて、見えなくなった丁度その時、血みどろに染った二つの死骸が転っている実験室では、真夜中の十二時を報ずる柱時計が、ボーン、ボーンと、無気味な音をたてて、鳴り始めたのだった。