Classiques japonais avec furigana
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おそろしきつや
恐しき通夜
海野 十三
Lisez 恐しき通夜 (おそろしきつや) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 15 092 caractères · 30 écrans
いつも三機雁行の、その先登に立っていた司令機内のこの儂は、反射凸面鏡の中に写る僚機の、殺気だった戦闘ぶりを、ちょいちょい眺めては、すくなからず心配になってきたものだ。夕刻に近づくと、かねて気象警報が出ていたとおり、灰色の雲は低く低くたれ下って来、白く浪立ってきた洋上に、霧がすこしずつ濃くなってくるのだった。
(今夜は、どうしても一と嵐くるな)
味方にとっては、いよいよ事態は不幸に向っていった。西に傾いた太陽は、密雲の蔭にスッカリ隠れてしまったり、そうかと思うと急にその切れ目から顔を現わして、真赤な光線を、機翼に叩きつけるのだった。丁度、そのときだった。あの一大椿事が突発したのは……。
ここまで云えば、君達も感付いたろうが、この椿事は、翌朝の新聞紙に『大演習の犠牲。青軍の戦闘機二機、空中衝突して太平洋上に墜つ。乗組の竹花、熊内両中尉の死体も機影も共に発見せられず。原因は密雲のためか……』などと書きたてられたあの事件なのだ。海軍当局の調査も、新聞の報ずるところとは大した相違がなかった。無論、現場付近にいた唯一の人間である儂は、調査委員会の席上で証言をさせられてこんなことを云った。