Classiques japonais avec furigana
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きょうふのくちぶえ
恐怖の口笛
海野 十三
Lisez 恐怖の口笛 (きょうふのくちぶえ) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 60 713 caractères · 122 écrans
「おお、――」
青年紳士は、その場に化石のようになって、突立った。
二重の致命傷
青年紳士は暫くしてから気を取り直すと、静かに芝草の中へ足を踏みいれた。そして屍体の方に近づいて、その青白い死顔を覗きこんだ。
「おお、四郎……」
と、彼は腸からふり絞るような声で、愛弟の生前の名を呼んだ。
ああ、何という無惨!
五月躑躅の葉蔭に、学生服の少年が咽喉から胸許にかけ真紅な血を浴びて仰向けに仆れていた。青年は芝草の上に膝を折って、少年の脈搏を調べ、瞼を開いて瞳孔を見たが、もう全く事切れていた。そして身体がグングン冷却してゆくのが分った。
兄は悲しげにハラハラと落涙した。
「死んでいる。……四郎、お前は誰に殺されたのだ」
屍体は肉親の兄西一郎にめぐりあい、おのれを屠った恨深い殺人者について訴えたいように見えたが屍体はもう一と口も返事することができなかった。
兄の一郎は涙を拭うと、血にまみれた屍体を覗きこんだ。そのとき彼は屍体の頤のすぐ下のところに深い、溝ができているのを発見した。よく見ると、その溝の中には細い鋼の針金らしいものが覗いていた。
「おや、これは不思議だ。